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【書評】『マンガでわかりやすい うつ病の認知行動療法』でセルフメンタルヘルスケア

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うつ病には認知行動療法が有効と言われています。

「認知行動療法と言われてよく分からない」という方や「病院やカウンセリングを受けるとお金が・・・。自分でまずは挑戦したい。」と思っている方に最適な本、というよりもマンガをご紹介させていただきます。

認知行動療法について学んでみたいけど、専門的な本はまだ読めない。

そんなあなたにもオススメできる『マンガでわかりやすい うつ病の認知行動療法 こころの力を活用する7つのステップ』です。

マンガでわかりやすい うつ病の認知行動療法 こころの力を活用する7つのステップ』オススメ読者

  • うつ病の自分としっかり向き合いたい
  • 認知行動療法についてマンガで簡単に知りたい
  • 病院やカウンセリングは高いから自分で認知行動療法に挑戦したい

1つ注意してほしいのは、この本を読めばうつ病が治るわけでも、認知行動療法について完全な理解ができるわけでもありません。

なんとか仕事ができているけど最近はスランプ気味だとかネガティブになりがちとか、そういう人が読むのに一番適していると感じました。

目次

『マンガでわかりやすい うつ病の認知行動療法』概要

筆者「きつね」は、うつ病と長年付き合っています。

根本的には自分の考え方や物事の捉え方を変えていく必要があるんだろうな、と思いカウンセリングでも認知行動療法が得意なカウンセラーさんとのカウンセリングを受けたこともあります。

しかし、カウンセリングというのはそんなに高頻度で行けるものではありません。

もちろん予約さえすればカウンセリングを受けることはできますが、一回で3~5,000円くらいの費用が。

保険適用外になるので、どうしても頻度が少なくなります。

頻度が少ないとカウンセリングの効果や学び・気付きというのも日々の忙しさに流されて忘れてしまいます。

そこで自分である程度は認知行動療法について学び、実践できる方が良いと思い、勉強することにしました。

いきなり専門的な本やワークブックを購入しても続かないだろうと思い、マンガで読める入門書的な1冊を探しました。

他にもマンガやイラストで気軽に読めそうな認知行動療法の本はあったのですが、書店でパラパラと立ち読みしたときに自分の状況や考え方と重なる部分が多く感じ、購入することに決めました。

仕事をテーマとして扱っていたり、うつ病に対する認知行動療法というタイトルになっていたのも理由です。

著者:大野 裕(おおの ゆたか)

 この本を監修しているのは、認知行動療法の第一人者である精神科医 大野 裕先生です。

著者情報

  • 著者名:大野 裕(おおの ゆたか)
  • 1978年、慶應義塾大学医学部卒業
  • 2011年6月より、独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター センター長に就任、現在顧問。
  • 現在、一般社団法人認知行動療法研修開発センター理事長、ストレスマネジメントネットワーク(株)代表、日本認知療法・認知行動療法学会 理事長など要職多数

認知行動療法といえば大野先生というくらいに有名だと思います。

『マンガでわかりやすい うつ病の認知行動療法』目次・章構成

『マンガでわかりやすい うつ病の認知行動療法』の目次は認知行動療法を学び実践するためのステップになっています。

マンガでわかりやすい うつ病の認知行動療法 こころの力を活用する7つのステップ』目次

  • プロローグ うつかな?と思ったら―認知行動療法でできること
  • 第1のステップ ちょっと立ち止まる―こころの警報に気づく
  • 第2のステップ 問題を整理する―何が大切かを忘れない
  • 第3のステップ 行動で気持ちを刺激する―やる気スイッチの入れ方
  • 第4のステップ 考えを切り替える―悲観的な考えから自由になるスキル
  • 第5のステップ 問題解決力を高める―問題から自由になるスキル
  • 第6のステップ 伝え方を工夫する―人間関係から自由になるスキル
  • 第7のステップ 考え方のクセに気づく―性格を生かすコツはじめに キャリアの常識が180度変わった
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『マンガでわかりやすい うつ病の認知行動療法』概要・要約

CAになって4年目の道端ひかり。

子どもの頃からの夢が叶ったのに、職場で頑張りが空回りして自己嫌悪に陥ることも……。

そんなとき先輩を通して、こころの力を取り戻す「認知行動療法」と出合い、自分の気持ちを整理することで、八方ふさがりに感じていた状況から抜け出すヒントを掴んで成長していく――。

マンガでわかりやすい うつ病の認知行動療法

主人公はCA四年目のひかり。

彼女が優秀な先輩・後輩に囲まれて自信をなくしているシーンからマンガは始まります。

周囲が優秀で自分がダメな人間だと思うこと、あなたにもあるんじゃないでしょうか?

誰もが通る社会人としての悩みを、彼女がどのように乗り越えていくのか。

マンガを通して私たちも学んでいきましょう。

プロローグ うつかな?と思ったら―認知行動療法でできること

プロローグでは、主人公のひかりが顧客対応で失敗して悩むシーンが描かれています。

「またお客様に怒られる・・・。」

反射的にそう思ってしまった主人公のひかり。

ですが実際は怒られることはなく、むしろ謝られたのです。

このように世の中の出来事に対して、自動的に結果を考えてしまうことってありますよね。

認知行動療法では、このような自分が持っている「考え方の型」を見つめ直して、世の中に適応していくことを目的としています。

「療法」という名称にはなっていますが、日常生活における様々な場面で応用ができる思考法です。

あなたがうつ病や適応障害で苦しんでいるのなら、きっと認知行動療法の考え方が気持ちを楽にするのに役立つはずです。

第1のステップ ちょっと立ち止まる―こころの警報に気づく

認知行動療法を実践するための7つのステップ。

最初のステップは「気づき」です。

「最近、なんだか調子が悪い」

「あの人に嫌われているんじゃないか」

「仕事が上手くいかない」

こんな風に感じたら、いちど立ち止まって最近の自分に変化がないかを見つめ直してください。

『マンガでわかりやすい うつ病の認知行動療法』では、「こころの警報」と称しているわずかな変調に気付くことから認知行動療法は始まっています。

「こころの警報」の例

  • 気分の変化:落ち込み、不安、怒りなど
  • 行動の変化:趣味もやる気にならない、人付き合いが億劫、仕事に集中できない・ミスをするなど
  • 身体面の変化:寝付けない、寝すぎてしまう、食欲がない、食べ過ぎてしまうなど

「数ヶ月前の自分と何か違うな」と感じたら、ストレスの原因がないかを考えてみましょう。

信頼できる人がいるなら相談してみることも大事です。

主人公のひかりは信頼できる上司に相談することができましたが、あなたの家族、恋人や友人でも構いません。

変にアドバイスをしてくる人ではなく、ただ話を聞いてくれる人が良いと思います。

もしも身近な人に相談できないと思うときは、メンタルクリニックにいるカウンセラーと話すのが良いでしょう。

筆者「きつね」もカウンセリングを受けて、自分の過去や考え方の癖に気付く機会を得ました。

第2のステップ 問題を整理する―何が大切かを忘れない

自分の違和感に気づけることも大事な力です。

「こころの警報」にも気付かないで、うつ病になってしまうまで頑張ってしまうこともあると思います。

でも自分の違和感に気づけるのであれば、問題と向き合って対処することもできる可能性があります。

第2のステップは向き合う「問題」を整理して、自分にとって何が大切かを思い出すこと。

心が疲れていては問題をリストアップしたり整理することも辛いでしょう。

しっかりと休むことを最優先にしてください。

問題と向き合う気力・体力がでてきたら、問題と感じていることが「なぜ問題なのか、本当に問題なのか」を考えてみましょう。

このとき「いつもダメだ」「また失敗する」とか無意識に思う癖や傾向を見つけるかもしれませんね。

考え方の癖や無意識に浮かび上がる感情を認知行動療法では「自動思考」という呼びます。

自動思考に気づくだけでも気持ちが楽になるものです。

少し落ち込んだら自動思考によって悪い考えに囚われていないか、自分を俯瞰的に見つめ直すことをしてみてください。

第3のステップ 行動で気持ちを刺激する―やる気スイッチの入れ方

第3のステップでは「行動活性化」というスキルについて学ぶことになります。

自分にとって心地良かったり、少し気持ちが楽になる・軽くなる行動を増やしていくことで問題に対処する力を養うというものです。

軽い運動をしてリフレッシュするアクティブレストとは違って、カフェでお茶をするのも家でマンガを読むのもOKです。

あなたの心が軽くなる行動を振り返って、できることから始めましょう。

本書では行動活性化について詳しく書いてありますし、自分にとって何が良い行動なのかを考えるヒントとして「行動リスト」も掲載されています。

あなたの気持ちを軽くする行動は何かを実験的に、ハードルを上げないで少しずつ試していきましょう。

筆者「きつね」の場合は、マンガ・アニメ・ゲームですかね。

あとは落ち着いたカフェでコーヒーを飲む時間も好きです。

料理も食材や調理だけに向き合ってリフレッシュできますし、盛り付けを綺麗にしたい芸術的要素もあって普段使わない感性が刺激されるので好きですね。

自分がインドア派なので例が落ち着いたものばかりでしたが、運動が好きならジョギングや散歩も行動活性化に繋がると思います。

大事なのは「あなたにとって」心地良い行動を探すことです。

他人に迷惑をかけない方法なら何でも良いのですから、世間体や周囲からの評判はいちど置いておきましょう。

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第4のステップ 考えを切り替える―悲観的な考えから自由になるスキル

これまでのステップで心のエネルギーが少しでも溜まっているのなら、「認知再構成法(コラム法)」を実践するためのステップに進みましょう。

本書で紹介されている認知再構成法(コラム法)は、7つのコラムを埋めることで自動思考に気づき現実の問題に対処・適応するための考え方を学ぶ方法です。

認知再構成法(コラム法):7つのコラム

  1. 状況:どのようなことが起こったのか
  2. 気分:どのような気持ち・感情になったのか
  3. 自動思考:どのような考えが頭に浮かんできたのか
  4. 根拠:自動思考を裏付ける証拠には何があるか
  5. 反証:根拠を否定する反対の事実には何があるか
  6. 適応的思考:根拠と反証を踏まえて、現実をしなやかに捉えたらどうなるのか
  7. いまの気分:一連の流れを経て、気持ちにどのような変化が生じたか

これらのコラム(項目)について順番に埋めていくことが、あなたの自動思考を整理しながら現実に適応するための別の考え方を見つける手助けになります。

ノートでもExcelでも何でも構わないので、気持ちがモヤモヤしたらコラム法に沿って書き出してみてください。

もしかしたら考え過ぎている自分に出会えるかもしれませんよ。

第5のステップ 問題解決力を高める―問題から自由になるスキル

コラム法で客観的に自分の現状を見つめ直したら、現実を変えるためにできることをやってみましょう。

何が問題となっているのか、あなたはもう気づいているかもしれません。

その問題を解決するためにできそうなことを考えたら、あとは行動あるのみです。

と言いながら、問題が大きすぎたり、解決するための行動が難しすぎたりして絶望的な気持ちになることもあるかもしれませんね。

そんなときは落ち着いて、問題を細かく分解して手の付けられそうなサイズにしちゃいましょう!

ひかりも職場の苦手な人に向き合うため自分ができる範囲の行動をしています。

もし効果がなかったとしても、問題解決に向けて行動した自分を褒めてあげましょう。

第6のステップ 伝え方を工夫する―人間関係から自由になるスキル

問題に対処するため、誰かに相談したくなることもありますよね?

あなたが相談するときはなるべく端的に事実や感情を伝えるように心がけましょう。

本書には「対人関係の法則」という心理学的な知見と共に解説されていますが、相談する側はどうしても立場が弱くなってしまいます。

悩んでいることで上手く考えがまとまらないうえに「相手への申し訳なさ」を感じてしまうことは誰だってあるものです。

しかし、相談に乗ってもらっているのですから変に気負わず、素直に話してみましょう。

逆に相談を受ける立場では「傾聴」を意識して、批評やアドバイスをしないように心がける必要があります。

あなたが相談するときは、ただただ話を聞いてくれる人を選んで相談するようにしてくださいね。

誰かに話していると自分の中から答えや問題解決の糸口が出てくるので、その手伝いをしてくれそうな人、話を引き出してくれそうな人が良いと思います。

他にも相手とのコミュニケーションを円滑にして摩擦を生まないようにする秘訣が書かれているので、ぜひ本書を手にしてみてください。

第7のステップ 考え方のクセに気づく―性格を生かすコツはじめに キャリアの常識が180度変わった

認知行動療法を通じて完璧主義的な考え方や不安を過大評価してしまう「考え方の癖」に気づくことができれば、ブレーキをかけながら生きていける希望を見出せるはずです。

最後のステップでは、認知行動療法を学び実践した主人公のひかりが新たな一歩を踏み出していきます。

その姿に、自分の将来も明るくなるんじゃないかと思わせてくれます。

弱みとも捉えられる考え方の癖は、人生をあなたらしく描くための個性でもあるのです。

きっと、考え方の癖に助けられてきた部分もあったと思います。

自分の個性とうまく付き合いながら生きていくことにしようじゃないですか!

マンガだからうつ病でも気軽に認知行動療法を学べる

この本を読めばうつ病が治るというものではありませんが、うつ病の原因が考え方の癖にあるのなら状況を改善する参考にはなるはずです。

調子が悪いと頭が重くて文章が読めない(読んでも頭に入ってこない)こともありますが、マンガ部分だけでも読めるなら、同じように苦しむ方にぜひ読んでほしいと思った1冊です。

認知行動療法という存在を知ることがまずは大事。

認知行動療法の存在を知ったことで自分が持っている考え方の癖を見つめ直すという視点を得られる。

この本を読んで自分の感情を客観視する視点ができたような気がすると共に、なんとか生きていけそうだなと思えた筆者「きつね」でした。

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