前回の記事で、生き方に悩んでいた私が、うつ病で治療中だった母親に相談することを決意したことまでを記事にしました。
今回は、当時の不安や「怖い・恥ずかしい」と感じていたことも正直に書いていきます。
母から心療内科での診察を勧められる
過呼吸が癖のようになっており、自殺を考えるほどに追い詰められていた大学生時代。
楽に死ぬためには、迷惑をかけないで自殺するには。
でも、そんな方法はないし、死ぬ時点で親には迷惑をかけるし、悲しませる。
そんなことが頭の中でグルグルとして、出口のない迷宮を彷徨うようでした。
なんとか迷宮から抜け出すため、母がうつ病ということを知っていた私は、すがるように相談をしました。
「正直、生きているのが辛いよ。」
子供にそのようなことを相談された親の心情を想像すると、申し訳なさが溢れてきます。
それでも、当時は他に選択肢はありませんでした。
目に涙を浮かべながら、優しく母はこう言ってくれました。
「一緒に、私の通っている病院で診察を受けよう。」
心療内科での診察を決意
母にそう言われて戸惑う一方で、心の底ではその言葉を待っていたんだと思います。
私は母と共に、心療内科に行くと返事をしました。
「これでやっと楽になれる。」
でも、いざ診察の日が近づくと負の感情が沸き上がってきます。
「理解されないんじゃないか」
「変な風に思われたら・・・。」
「知り合いに病院へ行くところを見られたら恥ずかしい。」
そこにあったのは、不安・恐怖・恥。そんな感情です。
心療内科で診察を受けるということは、自分の「心の弱さを他人に晒すこと」のように感じ取れました。
心療内科の先生にはもちろんですが、病院に通うところを目にする全ての人に「私は心の弱い人です。メンタルが病んでいます。」と宣言しているのと同じ。
どうしようもなく初診の日が嫌になりました。
きっと、自分で診察を決めて予約をしていたら、初診の当日にキャンセルをしていたと思います。
しかし、母が予約をしてくれたことで「キャンセル」という選択肢を自分で取ることはできません。
初診の日に母に連れられて、心療内科へ向かいました。
心療内科での初診とアダルトチルドレンという自覚
ベッドタウンのような地域だからでしょうか。
10人程度しか入れない小さな待合室には、女性の患者さんだけが数名いました。
若い女性から、母と同い年くらいの方まで。
母と受付を済ませ、待合室で待っている間も下ばかり見つめていました。
誰の顔も見たくないし、見られたくない。
その感情が表に出たのでしょうね。
診察室へ呼ばれるのを待っている間も母とは特別会話をすることはありません。
母は待合室に置いてあった雑誌をパラパラとめくっていました。
何人かが呼ばれたあと、私たち親子の番になりました。
母からは「一緒に入る?」と聞かれましたが、「別々がいい」と答え、母を先に診察室に向かわせました。
しばらく待つと母が診察室から出てきて、入れ替わりに私が診察室に入りました。
診察室には優しい雰囲気を纏った女性の精神科医がいました。
「こんにちは。お母さまの診察をしています。」
そんな挨拶を始めに、家での母の様子などを聞かれた後、私の診察が始まりました。
「あなたは、アダルトチルドレンだと思います。」
その言葉を受けた瞬間、不思議と心が軽くなりました。
子供の立場でありながら、親の愛情を感じられず、むしろ親に気を遣って生活をしている。
いわゆる機能不全家族状態だったことを精神科医の言葉で気付かされました。
そして、「アダルトチルドレン」という枠組みを与えられたことで、漠然とした虚無感や孤独感の正体がわかったような気分になったのです。
「自分の苦しみはアダルトチルドレンだからなのか」
そう思えるだけで救われたのです。
精神科医からは「信田さよ子」という心理学者・臨床心理士の本を紹介されました。
本のタイトルは【子どもの生きづらさと親子関係―アダルト・チルドレンの視点から】です。
アダルトチルドレンについて何も知らなかった私は、この本を読んで自分自身の成り立ちを理解することができました。
自分がこのような感情を抱くのにも理由があること。
親も人間であり、完全ではないこと。
今後の人生は変えられること。
診察を受けるまでは、不安や恐怖がありました。
自分だけでは診察を受けるという決断には至らなかったかもしれません。
結果的に、私は母に救われたのです。
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